利益がなくても年賀状の宛名印刷を受注すべき2つの理由

年賀状 印刷営業の仕事

毎年10月も半ばを過ぎると、印刷会社の営業は「年賀状印刷サンプル帳」を顧客に配り始めます。

年賀状印刷は手間が掛からず利益が確保できる商品なので、印刷会社としてはたくさん受注したいところです。

一般的に年賀状印刷といえばウラ面の印刷のことをいいますが、オモテ面の宛名印刷は顧客内でプリントアウトしているか手書きしているところが多いことと思います。

顧客にしてみれば宛名印刷まで印刷会社に発注したいところですが、実際のところ宛名印刷まで請けている印刷会社は少ないといえます。

日常業務で使うプリンターとオフィスが入ったパソコンさえあれば対応可能であるにも関わらず、なぜ印刷会社は宛名印刷を請けないのでしょうか。

印刷会社が宛名印刷を請けない理由

1.手間が掛かる割に売上にならない

いまどき印刷通販に依頼すれば一枚10円以下で宛名印刷をしてくれます。単価が安い反面、レイアウトなど細かい点で融通が利かないので、発注側が間違いのないデータを作成するのに手間と時間が掛かるというデメリットがあります。支払い条件で折り合いがつかないこともあります。

そんな手間と時間を掛けるくらいなら印刷会社に丸投げしたいと普通なら考えます。しかし発注したくても印刷会社は請けてくれません。

印刷会社の設備で十分に対応可能なのですが、手間と時間を考えると割が合わないのが現状なのです。その作業料に見合った見積額を提示すればいいのですが、印刷通販の単価を考えると提示しにくいという理由もあるのです。

2.そもそもデータ作成から印刷まで行なう人がいない

仮に、手間と時間を考慮し高額見積りを提示し顧客から依頼があったとしても、次にその仕事を行なう人が確保出来ないのです。大切な顧客のリストですから、下手に外部委託もできません。

そうなると困るので、ここは割り切って“宛名印刷は請けることができません”と言っておいた方が無難ということになるのです。

なぜ、宛名印刷は大変なのか

宛名印刷のデータ作成が面倒で敬遠されるには次のようなことが考えられます。

●ワードの宛名印刷機能が使いこなせない
いつも宛名印刷機能を使っていればいいのですが、多くの場合、年末の年賀状を印刷するときだけ使うことがほとんどです。一年に一回使うだけでは操作方法を覚えられません。

●長い社名や長い部署名が混在していて、個別レイアウト編集に時間が掛かる
「エクセルデータをフォーマットに流し込むだけだから、簡単にできるだろ!」と宛名印刷機能を使ったことのない上司は言います。が、そんなことはありません。長い社名や長い部署名、英語やカタカナ表記などイレギュラーがあればその都度調整しなければなりません。

●印刷する際に位置調整が上手くいかない
やったことがある方なら経験があると思いますが、7ケタすべての数字を郵便枠の中心に印字するのは至難の業です。年賀状には余分のないことも多く、失敗は許されないのです。

困っているのは女性スタッフです。
宛名印刷を印刷会社や印刷通販に発注していない企業では、おそらく女性スタッフがリスト作成から宛名印刷、投函までを行なっています。

女性スタッフにしてみたら、年末で自分の仕事が忙しいのに、上乗せして宛名印刷なんか任されたらたまったものではありません。

別に女性スタッフでなくても、エクセルとワードが使えれば誰でもできることなのです。

印刷会社に限らず、ここにニーズがあると考えられます。

赤字でも宛名印刷を受注すべき理由とは

手間と時間が掛かる宛名印刷ですが、印刷会社にとってメリットがあります。

1.仕入先企業リストを閲覧できる

多くの企業は仕入先企業にも年賀状を出しています。そのリストから自社と競合しているのはどこか、仕入れていると想像される商材で自社でも扱えるものはないか、別の顧客を紹介できないかなど探ることができます。(発注元の担当者にはその旨を伝えておきましょう!※無断でデータのコピー流用は厳禁です)

2.発注元の顧客リストを閲覧できる

発注元がどの企業と取引をしていて、どの部署に出入りしているのか把握することができます。発注元のビジネスモデルをこと細かく把握することで、次に何を提案するべきなのか探ることができます。(発注元の担当者にはその旨を伝えておきましょう!※無断でデータのコピー流用は厳禁です)

3.競合印刷との差別化

多くの印刷会社がやりたがらない宛名印刷を請けることで差別化することができます。作業する人材がいないようであれば営業が自分でやるか、臨時スタッフを確保してもらえるように上司に相談してみましょう。その結果、キーマンとなる女子スタッフから信頼を得ることでき、発注元の情報入手先を確保することができます。

まとめ

件数が1,000件以上になるとなかなか大変ですが、営業自身で作業することをオススメします。
営業活動が終わってからでも十分対応可能です。
おそらく利益は確保できないと思いますが、請けるだけのメリットは十分にあります。
※この記事はBtoBを想定した内容となっています。

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