印刷会社のルートセールスで行なうべき3つの営業活動

印刷営業の仕事のほとんどがルートセールスです。単にルートセールスといっても、ただ顧客に顔を出して発注を待っていればいいというものではなく、営業として最低限やらなければならないことがあります。

ここでは、ルートセールスとしてやらなければならない営業活動を、3つに分けてまとめましたので参考にしてください。

ルートセールスで行なうべき3つの営業活動

1.受注営業
2.横取り営業
3.深耕営業(提案営業)

1.受注営業

“受注営業”はもっとも基本的な営業活動で、顧客からの発注を受けることです。

印刷物には大きく分けて「継続性のあるもの」と「単発のもの」の二つがあります。

継続性のある印刷物には名刺、封筒、帳票などがあり、ある程度定期的に発注があるので印刷会社にとって売上計画も立てやすく印刷会社経営の基盤となる商品です。

顧客側の在庫が少なくなると増刷の発注があるので、必要部数を印刷し納期通り納品します。

この場合、既に単価は決まっているので毎回見積書を提示することもありません。ただし、デザイン変更やページ数が増えたり、発注ロットが変更になったりするような時には改めて見積書を提示します。

一方、印刷物には単発的に印刷するものもあります。たとえば求人募集チラシやキャンペーン開催チラシなどです。単発ですから次回の発注がないか、あったとしてもいつになるか分かりません。

単発の印刷物でも一回の発注金額が大きくまとまるか、将来的に継続性のある印刷物の受注が見込める顧客であれば積極的に営業を行なうべきですが、そうでなければ他を探した方が営業効率がいいといえます。

売上を安定させるために

継続性のある印刷物の発注がある“顧客数”が多ければ多いほど、印刷会社の経営は安定します。“印刷部数”と“単価”と“発注回数”が多ければ多いほど売上は多くなります。※単価は利益の出る適正価格であることが前提です。

売上を安定させるためには継続性のある印刷物の発注が他の印刷会社に流れないよう、常に発注担当者とのコミュニケーションを密にしておく必要性があります。

しかしながら現実は厳しく、担当者との接触頻度を高めようと「ちょっと近くに用事があったので寄りました」とかいいながら会社訪問しても、昨今の企業はセキュリティが厳重でアポなしで会うことは難しくなってしまいました。訪問するには、アポ取りとそれなりの訪問理由が必要なのです。

また、特に大きな会社で言えることですが、発注担当者が2年くらいで異動となってしまうことが多く、コミュニケーションを深めることが難しくなってきています。

さらに、自社の高機能プリンターで印刷したり、ネット通販印刷に発注したりと、わざわざ印刷会社に出さなくても高品質なものが安く手に入るようになりました。よく言われる印刷業界の需要減少の要因の一つです。

このようなことから、“受注営業”だけでは課せられた売上目標を達成することはできません。自らの売上目標を達成するためには、他社の案件を積極的に“横取り”したり“提案営業”したりする必要があるということになります。

2.横取り営業

担当している顧客のすべての印刷物を一社独占で受注しているというケースは稀です。自社が受注している印刷物以外にも獲得しなければならない案件はきっとあるはずです。

手始めとして競合印刷会社があるのかないのか、あるとしたらどんな印刷物を受注しているのか情報収集し、部数や単価など詳細な情報を掴んでおきましょう。

情報収集する方法

  • 顧客ホームページをチェックする
  • 発注担当者に聞く
  • 他部署の担当者に聞く
  • 倉庫などに納品したときに他の印刷物がないかチェックする
  • 出展している展示会に顔を出す など

情報収集して実態がつかめたら、それぞれの発注担当者と接触しコミュニケーションを深めます。タイミングを見計らい見積書の提示などを行ないます。

顧客が印刷会社を切り替えるポイントとして、コストダウンになる、納期短縮できる、品質アップできることが最低限必要です。

発注側も、企業方針や様々な縁故やしがらみなどを理由に数社の印刷会社と取引し、それぞれの印刷会社へ対する発注金額のバランスを取っていることもありますので、すべての印刷物を受注することは出来ないかもしれませんが、一件でも多くの受注を目指していきましょう。

3.深耕営業(提案営業)

上記の二つの営業活動では、具体的に目の前に印刷物があるので見積書を提示するなど対応もしやすいと思いますが、これだけでは売上目標を達成するためにはまだまだ足りません。

そのためには新たなニーズを発掘し、そのニーズに対し印刷物(解決策)を提案し、より深く掘り下げて新たな売上を作り出していく必要があるのです。

ニーズを発掘するためには、顧客のビジネスモデルをより深く理解していなければ提案することは出来ません。情報は多ければ多いほど、提案する際に役立ちます。

提案するために最低限知っておきたいこと

  • だれにどんなサービス・商品を提供しているのか
  • 担当しているのはどの部署なのか
  • いくらぐらいする商品なのか
  • 出荷量はどのくらいなのか
  • 競合となる企業はどこか
  • 解決すべき課題はなにか など

提案する際に必要となる資料

  • 他業種や同業他社の印刷サンプル
  • 企画書
  • 概算見積書

新しい印刷物を提案するためには、他業種や同業他社の印刷サンプルがあると大変便利です。類似の印刷サンプルがあるだけで、イメージの詳細が伝わりやすくなります。
“提案営業”欠かせない印刷サンプルの集め方はこちらを参照ください。

まとめ

一般的に「ルートセールス=発注待ち営業」と考えがちですが、そんな営業は印刷会社に(どこの業界でも)居場所はないでしょう。発注を受けるだけならアルバイトで十分なのです。

売上が伸びるかどうかは担当している顧客の事業内容によって大きく異なります。また、営業一人のフォローには限界があります。会社のバックアップがあってこそ顧客の信頼が得られるのです。

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